活 動 記 録

金光ウレシパの会 タイ報告会

 10月10日、金光北ウイング光風館でスタディツアー報告会in金光「タイ山岳民族の女生徒子どもたちは今」が開催され、22人が参加した。
この報告会は、霊地・金光の活性化を願って大谷の町づくりに取り組む、金光ウレシパの会(渡辺順一代表)が開催したもの。
 冒頭、渡辺代表があいさつし、次のように述べた。
「ウレシパとは、『共に育ち合う』というアイヌの言葉。私は大阪で教会を基盤に、女性家族用のシェルター事業をする中で多くの学びを得ており、その視点から家族や地域社会に向かうといろいろなことが見えてくる。
 なぜ金光で開催するのか。
それは昨年ごろから大谷の町づくりを進める中、かつて私が霊地で生活していた当時に比べて現状は大きく違い、悲しく思った。願いとしては、金光教教祖は、単に金光教の信仰を伝えたり、金光教の信者を増やしたりだけでなくて、世界中の人と関わりながら、人として生きる道を、ここから発信したいと願っておられたと思う。
そうした意味においては、大谷は小さな町ではあるが、全国へ広がり、全世界へと広がっている。
そうした世界へ開かれた町としての意味を考えていきたい。
世界のどこかでしんどい思いをして生活している人たち、あるいは、夢を持って生活している子どもたち。
その思いに届くような町として見詰めてみたい」
 続いて、タイ北部の女性やストリートチルドレンの支援に取り組んでいるNPOうんず代表の山田信二さん(神奈川県横浜西教会長)が「共に生きる 共に歩く」と題して、活動の歩みと9月13日から20日にかけて実施したタイ・スタディツアーの概要を、次のように報告した。

 私は、国際協力活動は信仰実践と切り離せないものと感じている。
教祖様が「天下太平諸国成就祈念総氏子身上安全」と染めた幟(のぼり)を立てて日々祈念なさったご事蹟を、現代に現す一つの形であり、活動には「問題解決のために支え合い、助け合う」「人間自らを苦しめる社会構造を学び、伝える」の二つの柱があると思う。
 私は1993年に、金光教平和活動センター(KPAC)のボランティア研修生としてタイに滞在し、現地で人身売買の危機にある人たちを支援している如田真理さん(本教教師)と出会った。
貧困のために少女や若い女性たちが性産業へと売られていたのである。
如田さんが支援する活動の一つに、人身売買防止のために手工芸品を生産して経済的な自立を目指す、バーントーファン・プロジェクトがあった。
1994年、本教信奉者有志でバーントーファンの商品を日本で販売するハートフル・トレード・プロジェクトを立ち上げた。
これは、生産者から搾取なく適正価格で購入して販売するフェアトレードの活動である。
販売することはタイの厳しい現実を伝え、日本人のライフスタイルを見直すきっかけにもなる。
ういんずは同様の活動を教外で行っている。
 今回の交流ツアーでは、チェンライ県の如田さんの活動拠点を訪問。
如田さんは現在も、日本への人身売買被害女性や、彼女たちと日本人男性との間に生まれた子どもたちの支援に携わっている。

 次に、パヤオ県のバーントーファンを訪問。
この女性グループは5年前に、山岳民族の子どもたちへの奨学金活動を始めた。
「長年支援を受けてきたが、今度は支援する側になりたい」との願いが生まれたのだ。
日本の協力者に資金を募り、私は日本側の世話人として関わった。今年で奨学金活動は終了することになったが、最後の支援として、奨学生が通う二つの学校と山岳民族の生徒寮に本を寄贈した。
支援が届いていない山間の学生寮の子どもたちが、目を輝かせて本を開いていたのが印象的だった。
 また、チェンマイのアーサーパッタナーデック財団を訪問。ここではストリートチルドレンを保護して、食事、医療、教育を支援し、社会的なリスクから身を守るためのライフスキル・トレーニングを行っている。
ボランティアスタッフとして献身的に働く出羽明子さん(KPAC研修生OG)は、もの作りを通して子どもたちが傷ついた心を癒やす活動(アートセラピー)を行っている。
その作品はドーデックギャラリーで販売しており、ういんずも販売に協力している。
 私はタイの人たちとの交流を通して、難儀は弱い方へ、弱い方へと流れることを知った。
ただ、弱いというのは、その人が弱いのではなく、さまざまな要因から弱くさせられているのだ。
「弱い人」は実は力を持っており、如田さんや出羽さんのように寄り添う人がいれば、本来の力を発揮できる。
遠くにいて何もできないように思っても、どこかに連帯の糸口がある。
交流することで顔が見えてきて、一緒に生きていることを実感し、お互いが力づけ合えるようになるのだと感じている。

 質疑応答後、渡辺代表が「霊地には空き家が点在している。
そうした中にさまざまな人々が出入りし、小さな窓口ができれば、新たな動きが生まれる。
今日のような交流を語り合える場づくりを、皆さんと共に展開したい」と述べ、閉会した。