活 動 記 録

支縁のまちネットワーク 2016年度シンポジウム

宗教者による支援を通じた国際交流  ―その現状と可能性―

 

 標記シンポジウムが2月18日午後、金光教大阪センター4階の大会議室(AMホール)にて開催された。このシンポジウムでは、さまざまな形で外国人に関わる宗教者の支援活動について3名のパネリストに発題していただいた。

 最初に、木本雅史氏(金光教横須賀教会教師)が登壇。在住外国人にとっての多文化共生の第一歩が言葉の壁を越えることであり、日本語の上達が鍵になる。
このことに気づいた木本氏は「TERAKOYA PROJECT」を企画した。
このプロジェクトは、かつて宗教施設が学びの場(寺子屋)であったことに鑑み、学びを目的とした外国人支援のコミュニティを構築することで、日常生活と密着した宗教のあり方と草の根の国際交流の可能性を図る試みである。
この一つの方法として、e-ラーニングのメソッドをスマートフォンのアプリに活用した独自のEDTECというシステムを活用しようとしている。

 次に、中村瓊珠氏(台湾仏教慈済基金会関西連絡所代表)が発題。
中村氏は、「仏教のため衆生のため」という慈済基金会(慈済)創立者の證厳法師のモットーから説き起こし、1991年の日本支部設立以後のさまざまな活動の歩みを紹介した。
とくにその大規模な活動としては、2011年の東日本大震災の際の義援金の直接配布がある。
この活動に刺激を受けて関西連絡所でも活動が活発となり、2人の日本人へのケア事例、釜ヶ崎の食糧・物資支援などについて、映像を交えて詳しく報告した。

 3番目に、松浦デ・ビスカルド篤子氏(カトリック大阪大司教区社会活動センターシナピス代表)が報告。
シナピスの多岐にわたる活動(労働・医療・教育・家庭生活・難民・人身取引)やそれらの活動における種々の秘訣について紹介した。
その秘訣とは、困っている人たちが行けるような教会にすること、教会の外にいる専門家とつなげる役割を果たすこと等であり、こうした社会活動を積極的に行うことによって、いまやカトリック教会の内部も活性化してきていると述べた。

 この3名の発題を受け、中西尋子氏(関西大学講師)が主に発題内容に関する質問を中心としたコメントを行った。
これに応答する形で、各発題者の活動のより詳しい性格特性が報告された。
木本氏は、「TERAKOYA PROJECT」におけるシニア世代の知恵をコミュニティ構築に生かすことの意義について、中村氏は女性(家庭の主婦)が多い慈済の特性を生かした細やかなケアの活動について、松浦氏はカトリック教会内でも社会活動を認知し啓発する研修会について頻繁に行っていると、それぞれ補足説明を行った。

 その後の質疑応答の時間では、フロアの参加者も交えて活発な意見のやり取りが行われた。
社会活動と布教活動との関連性、地域社会と支援される人々の結び付け方、その際に宗教者であることがハードルになるかどうかという事が主な論点となった。

 最後に、宮本要太郎氏(関西大学教授)が閉会の挨拶の中で、今回のシンポジウム内容を総括し、従来的なコミュニティ型支援から、コミュニティの枠を超えたネットワーク型の支援のあり方の必要性について説き、そのためには相互の交換と学び合いが大切であると締めくくった。

 参加者は35名で、シンポジウムは盛況裡に終了した。

(報告:金子昭)