活 動 記 録

支縁のまちネットワーク第7回公開学習会
日時 2016年7月23日(土) 15:00~16:30
場所 浄土真宗本願寺派真覚寺(神戸市中央区)
講師 鍋島直樹氏(龍谷大学文学部教授)

 

 第7回目となる公開学習会は、神戸市の元町駅にほど近い鍋島氏の御自坊において開催された。
講師より「臨床宗教師」の理念や経緯、研修の内容などについて1時間ほど説明があり、その後30分ほど質疑応答がなされた。
講義の内容については以下の通りである。

 今年2月28日に龍谷大学大宮学舎において、日本臨床宗教師会設立記念シンポジウムが開催され、上智大学グリーフケア研究所特任所長の高木慶子氏が基調講演を行い、続いて東北大学、上智大学、龍谷大学などで実施されている臨床宗教教育の内容が紹介された。
講師の説明は、基本的にそのシンポジウムで配布された資料に沿って行われた。

 まず、高木慶子氏の基調講演の内容について触れ、特に臨床宗教師会の設立が、「宗派を超え、統合する動き」であり、「宗派を超え他宗派を尊敬し信頼し合いながらの共働」を目指していることが強調された。
しかし、重要なのは、単に諸宗教間の信頼を構築するだけではなく、同時に、「日本人の多くが持っている宗教に対する偏見を正し、宗教への信頼を取り戻す機会」となすために、臨床宗教師が「公」的な使命を帯びているという点である。

 このシンポジウムにおいては、講師も、龍谷大学大学院の実践真宗学研究科において2014年度以降実施されている臨床宗教師研修プログラムについて報告した。
とりわけ、臨床宗教師による心のケアが、「寄り添う」(相手の心の物語を尊重する・相手の気づきを待つ)スピリチュアルケアと、「伝わる」(相手の願いを確認した後、生死を超える救いを示す)宗教的ケア、およびその両者の共通領域である宗教儀礼において「深く聞く」(大悲にいだかれて聞く)という重層的な構造を有することが説明された。
また、研修で大切にしていることとして、第1にスピリチュアルケアはあくまでも解決のつかない苦悩に向き合う覚悟をもって「寄り添う」こと、第2に自分自身を知り、宗教の真実を聞くことを忘れないことが、紹介された。

 講演の後、活発な質疑応答がなされ、スピリチュアルケアとの差異化をどのように図るのか、臨床宗教師が活躍できる場をどのように確保していくのか、スピリチュアルケアから宗教的ケアに移行していく過程で伴走型支援はどう関われるか、個々の臨床宗教師が所属している教団における意識改革はどうなっているか、公的な領域との関係はどうか、具体的な宗教的背景を持っていなくても「臨床宗教師」になれるのかどうか、など多くの質問が出され、その一つ一つに対して講師から丁寧に回答があった。

 

※ 学習会の後、講師から、参加者からの質問や提言を通して、改めて臨床宗教師の意義と制度に関する課題を学ぶことができ、たいへん有意義であったとの感想が寄せられたことを付記しておく。(文責 宮本要太郎)